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よくある3Dプリントの失敗3つとその15の原因【初心者向け記事】

こんにちは、YOKOITOの髙松です。

今日の話題は3Dプリンターユーザーなら誰もが一度は経験したことがあると言ってもいい、「3Dプリントの失敗」についてです。この記事を読みに来られたということは「一度どころか1/2は失敗だよ」という方も中には結構いらっしゃるのではないでしょうか。

数時間後には完成の予定でプリントをスタートして出掛けたり、布団に入ったりしたのに、次見た時にはこんなゴミを作っていた、となったらとてもがっかりしますよね。

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そんな失敗の原因を突き止め、適切な対策をとることでみなさんの3Dプリンター運用の一助になればと思い、この記事を書きました。なお、今回の記事は個人向け・低価格3Dプリンターで最も主流なFDM方式のものを前提に書いています。

 

以下にまず主な失敗3つとその原因を挙げます(クリックでジャンプします)。

失敗① 造形物が一部しかプリントされず、あとはノズルから出たままの細いゴミになっているか、ノズルの周りに塊になって付着している
            原因① 土台のコンディション不良
            原因② 温度が足りていない
            原因③ 接地面積が少なすぎる
            原因④ フィラメントの品質が悪い
            原因⑤ プリントの途中で脱調している
            原因⑥ 途中で割れている
            原因⑦ プリント中にノズルが一部詰まった

 

失敗② 造形物が全く、あるいは一部しかプリントされず、ノズルから何も出ていない
            原因⑧ フィラメントが切れた
            原因⑨ 材料が原因でプリント中にノズルが詰まった
            原因⑩ 温度が原因でプリント中にノズルが詰まった
            原因⑪ フィラメントを送り出す機構が機能していない

 

失敗③ プリンターが意図した動きをしてくれない
            原因⑫ スイッチ類の不調
            原因⑬ 制御基板の不調
     原因⑭ 3Dデータの不備
     原因⑮ g-codeデータの不備
失敗① 造形物が一部しかプリントされず、あとはノズルから出たままの細いゴミになっている

 

こんな時最初に確認して欲しいのは、プリント失敗の状態で造形物の底面が土台にしっかりとくっついているかどうかです。

A 底面が土台から離れている場合

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この場合、造形物が何らかの理由で土台から剥がれ、造形物自体が移動してしまったことでノズルから出るフィラメントが何もないところに置かれてしまい、造形が失敗した可能性が高いと思われます。

では、なぜ剥がれてしまったのか、また剥がれに有効な対策を見ていきます。

 

原因① 土台のコンディション不良

FDM式3Dプリンターの土台への樹脂定着方法はいくつかあり、中でも最も一般的な方法が、ガラス面などに糊を塗る方法とドラフティングテープ・マスキングテープなどを貼る方法です。これらに共通するのは、表面に凹凸を作りそこに樹脂を食い込ませることで定着を図っているという点です。「糊を塗る」という方法からはついつい粘着力で樹脂を固定するかのような印象を受けますが、実際のところは糊が乾いた際の表面のザラザラによって樹脂を定着させているところが大きいのです。

こうした糊やテープにそもそも剥がれがあり、土台の金属板やガラスのツルツルの面がむき出しになっていたりするとそこからプリントが失敗してしまったりします。プリント前にチェックして消耗している場合は取り替えておく、などの対策が必要でしょう。

また、ヒーテッドベッド(電熱線内蔵で加熱が可能な土台)装備のプリンターの場合、より表面に凹凸が少ないカプトンテープというテープを使用したり、中にはガラス面にそのままプリントする機種も存在します。そうした機種の場合、樹脂の定着はよりシビアになります。造形物を剥がす際につけてしまった手垢などが元となって剥がれてしまうこともあるので、定期的にアルコール除菌シートなどで掃除するなどしましょう。

これらの土台の条件はしっかり整っていたとしても、まだ土台(あるいはスライス時の設定)に問題がある場合があります。それは、スタート時のノズル先端と土台の距離です。例えば0.2mmずつ積層している場合、スタート時にノズル先端から土台までの距離が0.2mmではしっかり定着しません。ある程度押し付けてやる必要があるのです。もちろん近すぎてもいけませんが……。この点を調整する方法は多々あるのですが、ここでは一般的なものを1つご紹介します。

それは、土台の高さを調整する方法です。一口に高さの調整と言ってもソフトウェア側で調整するものや、本体の土台下ネジを回すタイプ、Z軸スイッチを動かすタイプ、本体機能で自動調整してくれるものなど、その方法は様々です。しかし、どの方法においてもしっかりと調整することが出来ればこの距離の問題は解決します。最も基本的な要素のひとつなのでマニュアルにもほぼ必ず載っている項目かと思いますが、特に0.1mmや0.05mmなどの細かい積層ピッチでプリントする際は念入りに調整しておきたい項目です。

原因② 温度が足りていない

ここで言う温度には3つあります。まず1つ目はノズル(ホットエンド)の温度です。言うまでもなくノズルの温度は樹脂の溶け具合(=土台への定着具合)に直結します。特にABS樹脂の場合、低すぎる温度ではなかなか土台に定着してくれません。一般的に適切なノズル温度は、PLA樹脂で190℃-230℃、ABS樹脂では230℃-250℃程度と言われていますが、プリンターの機種ごとに上限温度がありますし、それぞれの素材にも推奨の出力温度幅がありますので、しっかりと確認してから温度を設定するようにしてみてください。

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ほとんどの場合フィラメントリールの側面などにこのような表記がある

次に2つ目の温度要素について。これは先程も話に出たヒーテッドベッドの温度です。よくPLA樹脂は安定して出力しやすく、ABS樹脂は出力が難しいという話がされますが、その要因のひとつには、PLA樹脂に比べてABS樹脂は温度変化での収縮量(縮み方)が大きいという点があるからだと言うことが出来ます。つまり、出力時に温度が急激に下がってしまうと一気に収縮が起こり、結果として剥がれてしまうということが起こるのです。

そのため、ABS樹脂の出力時はヒーテッドベッド自体の温度を高く保ち続ける必要があります。ヒーテッドベッドのない機種などでも前述の糊などで強力に定着させABSを出力できる場合もありますが、ある程度以上の大きさのものを作る場合はほぼ必須となります。そしてこれは3つ目のポイント、空間全体の温度とも密接に関係してきます。プリント空間が囲われているタイプの機種では、ヒーテッドベッドの熱やノズルの熱で空間全体の温度が上昇し、ABS樹脂の収縮が緩やかになります。特にこれはヒーテッドベッドから距離が離れてしまう上部の層における割れや剥離を抑制する際に重要なポイントです。一方でプリント空間が囲われていないタイプの機種も多く存在します。こうした機種では、ABS樹脂で大きな造形物を作るのが難しくなっています。Reprap系(自作系)の3Dプリンターを中心に箱をかぶせるなどして密閉型にしてしまう手法も広く行われていますが、元来密閉されることを想定して作られていない機種の場合モーターや電子系に故障が生じるリスクがあります。中でもPLA樹脂でプリントしたパーツが使われている3Dプリンターは注意する必要があります。力のかかる位置のPLA樹脂パーツは空間の温度が80℃位になっただけでも歪み、変形してしまいます。

また、冬などは気温が低下するので、夏に比べて温度を高く保つのが難しくなります。ABSを出力する場合はなるべく暖房の効いた部屋に置いたほうが良いでしょう。

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自作のケース

 

原因③ 接地面積が少なすぎる

もうひとつ考えられる原因は、3Dモデル、あるいはプリント時の方法の問題です。FDM式3Dプリンターでは造形物はノズルとの間に半分溶けた樹脂を挟んでいるだけで、半ば触れた状態です。これはプリントの状況によっては特定の方向に造形物が引っ張られたり、あるいは冷えて固まった部分がノズルにぶつかったりするということでもあります。また、一部の機種ではプリントベッドがY軸方向に稼働するものがあります。こうした機種では土台上の造形物がしっかりとした支えを持たない場合、高さのあるものは動きの反動を受けて倒れてしまいます

こうした失敗は特に細長いものや、上の層の方が大きい質量を持つものなどで顕著です。例えば2本足で直立した人間のモデルを出力するときなど起こりやすいと思います。

ではそのような倒れやすいモデルを出力する時はどうしたらいいのでしょうか。対策はいくつか有りますが、まずは土台となる部分をつけることです。これは元の3Dモデルにつける形でモデリングしても良いですし、大抵の3Dプリントソフトウェアについているラフト(いかだ)機能を使ってあとから付けても構いません。これだけでもぐっと倒れにくくなるはずです。次に有効なのはサポート材(支え)をつけることです。サポート材はそのままでは綺麗な造詣が困難な場合に造形物と一緒に作られる支え材のことですが(詳しくはこちら)、揺れてしまう造形物の安定にも使えます。そして、これは特に土台が動くタイプの機種で有効な方法ですが、プリントの速度を落とすことが非常に有効です。土台の急制動がなくなれば、倒れたり折れたりが減るだけでなく、造形物のクオリティも上がります。

 

原因④ フィラメントの品質が悪い

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上記3つの可能性を考えてみて解決しないようであれば、この可能性があります。そもそも購入したフィラメントの品質が悪い場合もありますが、保管しているうちに劣化が起こってしまうケースも多いです。案外フィラメントというのは劣化しやすいもので、長期間直射日光の当たる場所に置いていたり、湿度の高い場所に置いていたりするとプリントに使用できないほど劣化します。加水分解を起こして折れやすくなってしまったり、3Dプリンターのコンディションを整えても全く土台に定着しなくなってしまうのです。

このような状態になってしまった場合は残念ですが、新しいフィラメントに交換してください。また、予防策としてフィラメント保管の際は密閉した容器に乾燥剤とともに入れて、湿度が低い日陰に置いておくと良いでしょう。

 

B 底面が土台から離れていない場合

こちらの場合、土台にはしっかり固定されたものの、プリントの最中に何らかの理由で積層に失敗してしまったということが考えられます。

積層に失敗して上のような状態になる場合、大抵層ごとの継ぎ目に問題があります。そうなってしまう原因を見ていきましょう。

 

原因⑤ プリントの途中で脱調している

多くのFDM式3Dプリンターはベルトで駆動しています。ここで言う脱調というのは、何らかの理由でそこにズレが生じ、実際のノズルの位置とコンピューター上で認識しているノズルの位置に齟齬が生じてしまった状態のことを指します。プリントの途中にこの現象が起こると、例えばコンピューター上ではX軸20, Y軸30の地点にノズルがあるつもりでも、実際はX50, Y30の地点にある、と言うことが起きてしまったりするわけです。

そうなると当然、プリント物自体もズレますし、途中まで造形されているので場合によっては下に何もない空中に出力している、という状態になります。結果として材料のフィラメントが無駄なゴミとして出力されてしまうわけです。

ではどのようにすれば脱調を回避出来るのでしょうか。脱調が起こる理由は機械の状態が悪い(ベルトが緩んでいる等)か、機械が万全な状態でも動作上無理な負荷をかけ過ぎているかのどちらかです。前者の場合自作系の3Dプリンターなどで注意しなければなりませんが、各機種によってチェックすべき箇所も変わってくるのでここでは記述せず別記事に譲りたいと思います。

さて、後者の場合です。こちらの結論は至ってシンプルに「速度を落とす」ことです。プリンターのノズル周辺は様々なパーツがあり、結構な重さがあります。エクストルーダーをノズル直上につけているタイプのものになると更に重くなります。その構造をモーターとベルトで動かしているわけですが、動く速度が速いと停止や方向転換、切り返しの動きの際にかなりの負荷がかかります。思い切り振った野球バットをピタッと止めることが難しいのと同じように、急激な加速・減速はベルトとプリントヘッド、ベルトとモーターなどの噛み合せに無理をさせ、場合によってはずらしてしまうことになります。

プリントの速度を落とすことは、こうした機械への負荷を落とし脱調を回避することにつながります。ほとんどの場合、各機種にはメーカー公称の稼働速度帯があります。これらは概ねノズルの移動量を秒間何mmまたは分間何mmという形で表したものです。例えば2400mm/m-4800mm/mとなっていれば分間2400mmから4800mmの間の速度で動かしてね、ということです。この速度帯内に速度を収めるのはもちろんですが、収めていてもプリント物の形状によって脱調してしまうことはあります。複数個のものを同時にプリントするような場合です。こういった場合、プリント物AからBへノズルが移動するタイミングがありますが、その間のノズルから何も吐出しない部分の移動速度が異常に速く脱調することが多々あります。これは特にMakerbotのソフトウェアや、Simplifyなどの細かく項目を設定できるソフトウェアのユーザーの方に気をつけてほしい点です。

こちらの記事でも書きましたが、3Dプリントにおいて速度は大変重要な要素です。緩やかにしてやることで脱調を防いだり、精度を上げたり出来るほか、先に述べたような機械の状態が万全ではないプリンターでの失敗率を下げる事にもなります。

 

原因⑥ 途中で割れている

これは造形物が何らかの理由によって途中で割れてしまい、部分的あるいは完全に外れてしまったというパターンです。こうした現象はABS樹脂の場合によく起きます。そして、そのほとんどの原因が温度によるものです。

温度については項目Aの原因②とほぼ同じ理由になるので対策についてもそちらを参照していただきたいのですが、特に中間部分で生じる割れの場合にはプリント空間の温度が重要になってきます。これが低すぎると一気に収縮が起きて割れてしまいます。対処法としては、周りを囲ってやることのほか、プリンター自体を暖かいところに置くことがあります。

 

原因⑦ プリント中にノズルが一部詰まった

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完全にではなく、中途半端にノズルが詰まっている状態です。これによって全く樹脂が出てこないわけではないのに、押し出される量が足りずに結果としてゴミの塊が出来るわけです。

原因がフィラメントに含まれる不純物や付着したホコリなどの場合もあれば、温度などの複合的な要因が関連して起こる場合もあります。また、ウッドライクフィラメントやブロンズフィラメントなど、混ぜものがしてあるフィラメントの場合特に詰まりやすくなります。

詰まりの解消法と予防策については後の項目で触れます(原因⑨-⑩)が、詰まっているかどうかの確認はプリントをもう一度最初からスタートするか、ノズルを加熱して樹脂を押し出すことで行うことが出来ます。

詰まりが起きていた場合、機種によってはノズルのパーツごと交換になったり、修理にメーカーへ送ったりしなければならない場合もありますので、フィラメントを使う前に自分の3Dプリンターに対応したものかどうか、ゴミが付いたりしていないかを確認しましょう。

 

失敗② 造形物が全く、あるいは一部しかプリントされず、ノズルから何も出ていない

この場合、真っ先に考えるべきはノズルの詰まりでしょう。しかし、実は他にも可能性はあります。以下で見ていきます。

 

原因⑧ フィラメントが切れた

この「フィラメントが切れた」には2つあります。材料であるフィラメントをプリント中に使い切り、素材がなくなってしまうという意味でのフィラメント切れと、プリント途中でフィラメントが千切れてしまい、素材が送られなくなってしまうという意味でのフィラメント切れです。

まず前者について。通常フィラメントは0.5kg、1kgといった量でリールに巻かれていますが、残り少なくなってくるとプリント中にフィラメントを切らしてしまう場合があります。当然そのような状況で大きい物を一度に出力するのはリスキーです。そうした悲劇を避けるためにも、残りフィラメント量があやしい時は新しいフィラメントに交換しておきましょう。また、スライサーの中にはおおよその使用予想量をメートルやグラムで表示してくれる機能を持ったものもあります。正確無比ではありませんが、目安程度に使うと良いでしょう。

後者のフィラメント切れは、フィラメントをエクストルーダーに送るまでの過程に問題があって起きることが多いです。無理に長距離引っ張っていたり、角度がつき過ぎたりしていないか注意が必要です。他にも、リールの方で絡まっていたりすると無理に引っ張ることになり、フィラメントが切れる原因になったりプリンター本体のエクストルーダーにダメージを与えたりすることになります。また、原因④で挙げたような劣化してしまった材料や、特殊な混ぜ物がしてある樹脂(ウッドライク、ブロンズなど)は通常のPLA・ABS樹脂に比べても折れやすいです。「劣化しているかな」と思ったら、フィラメントの端の方を折り曲げてみましょう。ポキッと折れてしまったら劣化している可能性が大きいです。

 

原因⑨ 材料が原因でプリント中にノズルが詰まった

前項でも話に出た特殊フィラメントなどで特に起きやすい状況です。

ウッドライクフィラメントやブロンズ・カッパーなど金属系、カーボンに石膏ライクと特殊フィラメントもかなりの種類がありますが、基本的にこれらのフィラメントはすべてPLA樹脂などに原料の粉末を混ぜ込むことで作られています。これらは流動性が低く押し出されにくかったり、ノズル内部で焦げ付いてしまったりするのです。プリントの際はメーカー推奨の温度やプリント設定をしっかりと確認する必要がありますし、機種によってはそもそも使用しないようにと注意書きがあったりしますので、チェックしておきましょう。

 

原因⑩ 温度が原因でプリント中にノズルが詰まった

これも気付きにくいですがよくある原因です。温度が低いと当然詰まりを起こしますが、温度設定ミスなど気付き易いもののほかにプリント中にホットエンドのトラブルが生じて温度が上がらなくなってしまう、ということもあります。ノズルは絶えず動いているわけですが、その繰り返しによってヒーターの電線が断線してしまったり、ヒーターは繋がっていても温度計が断線したりすると意図した温度を保てなくなり詰まりが発生します。

また、一方で温度の上がり過ぎにも注意が必要です。設定で高くしてしまうのはもちろん、温度計が抜け落ちたりすることによって温度が上がっていないと認識され、ヒーターの方では加熱が続けられてしまうということも危険です。発火の危険性などがあることは言わずもがなですが、一部のプリンターではノズルの内部にテフロンチューブが使われており、チューブが耐えられる限界がそのまま耐用温度上限になっていることも多いです。これを超えてしまうとチューブが変形し解消が難しい詰まりを起こすので注意しましょう。

 

原因⑪ フィラメントを送り出す機構が機能していない

フィラメントを送り出す機能を持つエクストルーダーは、モーターの回転をドライブギアに伝え、ドライブギアとベアリングとの間にフィラメントを挟みこむことで押し出しを行っています。

この機構が機能していない場合は、ドライブギアとベアリングとの間に隙間が空いてしっかりと挟みこむことが出来ていないか、ドライブギアとモーターとの固定が緩んでモーターが空転してしまっている、あるいはドライブギアの歯が削れてしまっている、のいずれかが原因の場合が多いです。

1つ目の場合はエクストルーダーを構成するバネなどの状態に問題がないかをチェックし、2つ目の場合はドライブギアのネジを締め直したり、前後を調整してしっかりとフィラメントに噛みあうようにします。3つ目の状況は特に金属系のフィラメントなどを出力していると起こる摩耗なのですが、この場合はもうドライブギアの交換、という方法しか解決策はありません。フィラメントの削れたものが歯の間に詰まっている場合にも送り出す力を失いますが、この場合は掃除してやれば解消します。

 

例外的に、フィラメントが大きく削れて空転している場合は、フィラメントが送り出せなかった理由(温度や詰まり等)があると推測されるので、そちらもチェックする必要があるでしょう。

また、柔軟性の高い素材(エラストマー系のフィラメントなど)を使っていると送り出し途中にフィラメントが折れ曲がってしまってノズルから送り出されないこともあります。速度やリトラクションなどを調整することで解消できる場合もありますが、エクストルーダーとノズルの距離が離れているプリンターではそもそも出力に向いていないため、全くプリント出来ないこともあります。

 

失敗③ プリンターが意図した動きをしてくれない

純粋なプリント失敗とは少し異なりますが、プリントをスタートしたのにプリンターが思うように動いてくれずそもそもプリント開始出来なかったり、プリントの最中に突然止まったり途切れ途切れの動きになったりする場合、以下の可能性が考えられます。

 

原因⑫ スイッチ類の不調

ここで言うスイッチとは、3Dプリンターの原点出しにおいて重要なXYZ各軸のスイッチです。プリンターが動きの起点になる原点(ゼロ点)を把握するために重要なもので、始めにこのスイッチが押されるまで軸端へヘッドを動かすことで原点をセットしています。この時スイッチが外れていたり、断線していたりすると「ガガガガガ」と端に行ってもぶつかり続け、故障や不調の原因となります。特に自作系3Dプリンターを使用されている方はスタート前に確認されるのが良いでしょう。

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スイッチ類の例

 

原因⑬ 制御基板の不調

プリンターを制御する電子基板に不調があると、当然の事ながら全く動作しなかったり、途切れ途切れに動く等おかしな動きをしたりします。電子基板の不調の場合、知識のある人でなければ自己解決はなかなか難しいのですが、プリント中に十分な放熱が行われず、過加熱によって動作不良を起こしている場合などはファンをつけるなど冷却方法を工夫してやることで改善する場合があります。原因②で挙げたような周りを囲う方法などがこの過加熱を引き起こしてしまう場合もあるので、注意が必要です。

 

原因⑭ 3Dデータの不備

プリンターが明らかに形になり得ないものを作ろうとしていた場合などはまずこの可能性が考えられるでしょう。

3Dプリント用の3Dデータは、完全に閉じている(=物体として成立している)形状であることが求められます。CADで作られたソリッドのものを元にしたデータの場合は概ね問題ありませんが、面で形を作ったデータ、特に3DCGソフトで作られたものは破綻が起きている可能性があります。データの破綻がないか事前にチェックし、スライス時におかしな挙動になっていないか確認するのが有効な対策です。面が裏返っているなど簡単には発見・解決出来ないトラブルもあるので、データチェックや修復には「Meshmixer」「netfabb」といったソフトを使うことをおすすめします。

 

原因⑮ g-codeデータの不備

これは主に自作系のプリンターや、メーカー製であってもスライスソフトにサードパーティ製のものを使われている方が当てはまる可能性があるものです。スライスソフトは3Dデータを変換してg-codeというデータにします。これが最終的にプリンターに動きを伝える(この方向にこれくらい動け、というようなもの)データになるわけですが、少し細かい設定が出来るスライスソフトになるとこのデータの先頭や末尾に指示を書き加えることでプリント開始・終了時の動きを指定することが出来ます。プリンターの構造は機種によって違うので、それぞれに適応させられるようになっているわけです。上手く使いこなせばノズルを掃除したり、土台の高さ調整に使えたりと便利なのですが、指示が的確でないと土台にぶつかるなどしてプリンターを損傷してしまう恐れすらあります。当然メーカー製プリンターであってもサードパーティ製スライスソフトを使えば起きたことは自己責任ですから、g-codeの編集は慎重に行いましょう。尤も最近のサードパーティ製スライスソフトは主要なメーカー製プリンターに対応しているものが多いですが……。

以上がg-codeデータの不備によるプリント失敗についてでした。g-codeの編集をされるレベルの方はそもそもこの記事を見ても何の参考にもならないと思うのでここで挙げるべきか迷いましたが、参考までに解説しました。

 

いかがでしょうか。ここまででFDM式3Dプリンターにおいて起こりやすいトラブルとその原因の解説、解決方法を書いてきましたが、お役に立ったでしょうか。

YOKOITOでは3Dプリンターの普及・快適な運用に繋げるべく、この記事にも時勢に応じて随時修正をしていきます。「この説明がわかりにくい」「どれにも当てはまらない症状・トラブルが起こった」というようなご意見があれば些細な事でもCONTACTより是非ご連絡ください。フィードバックをお待ちしています。

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